七人の出会いから一ヶ月、彼らは互いにあだ名で呼び合うようにまでなっていた。 アンチャンにボクシングの指導を受けるマリオ。一緒に腹筋を鍛えるヘイタイとキャベツ。部屋の隅ではスッポンとジョーが将棋を指し、その横でバレモトが本を読んでいた。暑い夏が過ぎ去ろうとしていたそんな日、ジョーに面会者が訪れる。彼には幼い頃母親に置き去りにされて以来、二人で支え合ってきた妹のメグがいた。施設に残してきた彼女ではないかと喜んだジョーであったが、接見室に入った途端、表情が一変する。そこにいたのは、彼を虐待していた施設の園長だったのだ。
メグに里親が見つかったことを告げられたジョーは、その日、食事もろくにとらず、工場で作業をしても何か思い詰めている様子であった。それを見ていたスッポンは、看守の隙をうかがって芝居を打ち、ジョーに脱走を促す。戦争で家族を亡くし、同じように孤児だったスッポンは、彼のことを黙って見ているわけにいかなかったのだ。それに同調して芝居を打つマリオ達五人。懲罰をも恐れない仲間達の優しさに触れ、零れる涙を拭きながら、ジョーは必死に脱走を図った。メグに会うために。
RAINBOW 二舎六房の七人